トウモロコシの栽培方法は比較的簡単ですが、実が詰まった甘いトウモロコシを収穫するためには
事前に注意しておきたいポイントがあります。
ここでは、トウモロコシ栽培で失敗することがないよう私もよく失敗した栽培ポイントを中心に
紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください
この記事でわかることは、
- トウモロコシを栽培するための時期や栽培期間などおさえておきたい基本情報
- トウモロコシ栽培方法と注意点
- 美味しいトウモロコシを収穫する上で注意したいよくある失敗ポイント7つ
を紹介していきます。
私は貸し農園で野菜づくりを始めて9年になります。
年間通じて40種類以上の野菜を栽培しています。
目次
まずはとうもろこしの栽培に必要な基本事項です。
露地では暖かくなる3月下旬ぐらいに種を播き、3か月後の7月上旬に収穫できるイメージです。
気温が30度を超えると生長が止まる傾向にあるので、早めに種まきを行なうようにしましょう。
2月下旬くらいに種まきをし、2回に分けて収穫する方法もありますので後ほど紹介します。
項目 | 内容 |
栽培時期&期間 | (栽培時期)直播:3月下旬〜7月下旬 (栽培時期)育苗:4月下旬〜7月下旬 【栽培期間】約3か月 |
発芽地温 | 20〜25℃ |
生育適温 | 22〜30℃ |
発芽方法 | 直播 or 育苗 |
畝幅 | 1列:60cm / 2列:90cm |
株間 | 30cm |
好適土壌酸度 | 中酸性〜弱酸性 |
連作障害の有無 | 無し ※連作可能 |
トウモロコシは他の春夏野菜と比べてもまだ寒さの残る時期から
の栽培ができます。
種まきの時期を1ヶ月ほどずらして2回に分けての栽培で、
美味しいとうもろこしを2回収穫することも可能です。
ここでは、トウモロコシを栽培方法を紹介していきます。
作業手順は簡単ですが、まずは作業の流れをおさえていきましょう。
・苗ポットを用意する。植付ける数発芽しなかった場合に備え+2個位余分に準備するのがおススメ
・苗ポットの底に鉢底ネットを敷く。(ポットの土が流れるのを防ぎます)
・苗ポットに土を6割くらいまで入れる。
※土は種まき用の土がおすすめです。発芽に最適な成分が配合されておりしっかり発芽します。
・ポットに種を3粒づつ撒く
・種が隠れるまで土を追加する。(ポットの上から指の第一関節程度までが目安)
・発芽した苗が15cm程度に育った頃に植えつけする。
・土を耕して畝をつくる準備をする。
・苗が生長しやすい中酸性〜弱酸性に酸度調整をする
※根がしっかり張るように深めに掘り起こしておきます
・肥料は「溝施肥」で播く。30cm程度掘った溝に肥料を播きその上に土を被せる
・トウモロコシは多くの肥料を好むので、元肥の段階から肥料を多めに入れます。
・しっかり耕せたら、畝を立てます。
・畝幅は1列の場合60cm、2列植えの場合は90cmの幅をとります
※気温が低い時期に生長させるには黒マルチを張り地温を上げるのが効果的
・畝ができたあとは、育苗した苗を植えつけます。
・直播の場合は、苗のポット育苗同様、3粒づつ種を蒔きます
・株間は30cmほど空けて植え付けます
・追肥は、ぼかし肥や鶏糞肥料を入れます。
・追肥タイミングは2回
【1回目】草丈が50cm程度(本葉が5~8枚)になった時
※2条(2列)播きの場合は条間に撒く
※このタイミングで生育の良い株1本だけ残す(間引き)
間引きの際は引き抜かずハサミで株を切り取る
【2回目】株先から雄ヒゲが出てきた時、畝横に撒く(根が広がっているため)
・追肥をした後は、株が倒れないように株元に土寄せをして株元を固定する
・雄穂先からヒゲが出てきたら人工授粉を行います。
・雄ヒゲについている花粉を雌ヒゲにつけます。
雄ヒゲは株先に出てくるヒゲ、雌ヒゲはトウモロコシの実ができる先端から出てくる
ヒゲになります。
・人工授粉が終わった後は、防虫対策も兼ねて雄ヒゲをハサミでカットします。
・ひとつの株にとうもろこしの実が2〜3つつきます。
・1番上の実だけを残し、その他の実は取り除く
※取り除いた実はヤングコーンとして食べることができます(これが美味い)
・実が大きくなればいよいよ収穫です
・収穫タイミングは雌ヒゲが黒くなり枯れてきた時が収穫の合図です。
トウモロコシの株丈を大きくすることが、大きく美味しいトウモロコシを収穫するコツです。
大きな株丈にするために、「肥料」と「水」はしっかり与えるようにしましょう。
①害虫対策として「マメ類」と一緒に栽培する
苗を植えつけるタイミングで株間にマメ類の種まきをおこないます。
害虫予防として効果を発揮します。
「コンパニオンプランツ」を知っていますか?
ある野菜や花と一緒に混植して栽培することで、良い影響を与える作物のことです。
トウモロコシに有効なコンパニオンプランツは
マメ類(枝豆)が効果的です。※栽培時期が似ているエダマメが栽培しやすい
トウモロコシの株間にエダマメのタネを播き一緒に栽培することで、
害虫の予防に効果を発揮します。
実が大きくなるころを狙って
「カメムシ」や「アワノメイガ」というイモムシのような害虫が
外皮から実に侵入し実を食べていきます。
皮に茶色の穴が見られたら浸食している可能性が高いです。
成長段階で食べられると、成長の妨げになり大きな実に成長しません。
被害を拡大させないために見つけ次第駆除するようにしましょう。
また人工受粉が終わった後にすぐ雄穂を切り取るのも害虫予防として効果的です。
トウモロコシの苗を植えつけるタイミングに株間にエダマメの種を3粒程度播いておきましょう。
②大きく実が詰まったトウモロコシを育てるために「肥料」と「水」を切らさない
他の野菜と同じように肥料もあげてるし、水やりもしているけど大きくならないの
トウモロコシは他の野菜よりも
多くの肥料と水をやるのが大切!意識的に量を増やしてみて!
トウモロコシの実が大きくなるタイミングで「肥料」と「水」をしっかり与えることが大切です。
「肥料」は、元肥と2回の追肥、計3回与えます。
元肥は、根が土中深く深く根を張れるように,
「溝施肥(みぞぜひ)」で肥料を入れるのが効果的です。
溝施肥は土全体に肥料を播かずに、まず30cmほどの溝を掘り,肥料を播いたあと土を被せます。
溝施肥をおこなうことで根をしっかりと伸ばす成長タイミングに効果的に肥料を効かせることができます。
追肥は横に根が伸びた状態を想定し、株元ではなくうねの両脇に肥料を蒔くと効果的です。
また同じタイミングで株元に土寄せし伏倒対策をおこないます。
特に気温が上昇し、土壌が乾燥する時期には「水」と「肥料」を切らさないようしっかり与えましょう。
実が大きくなる時期に「水」や「肥料」が不足すると、スカスカで歯抜け状態のトウモロコシになってしまいます。
トウモロコシの収穫に失敗しないためにも「肥料」「水」は切らさないと覚えておくとよいでしょう。
③梅雨、台風の時期にトウモロコシの株が折れたり倒れたりが無いよう対策をとる
トウモロコシの実が大きくなる時期に強風にあおられ、
茎が折れてしまったら大変です。強風でも倒れないよう
事前に対策をしておきましょう。
トウモロコシ株の茎が折れてしまって、実ができる前に折れてしまった。
こんな失敗も以前経験しました。
【株が倒伏してしまった原因】
- 強風対策ができていなかった
- 土寄せがしっかりできていなかった。
が挙げられます。
【倒れないようにする対処法】
株が倒れないようにする強風から守る対処方法として3つ挙げると、
- 畝の四隅に支柱とたて、畝を紐で囲む(上記画像)
- 一株ごとに支柱をたて紐で誘引する
- 株と株の上部を寄せ合い紐で結ぶ
2や3の対処法でも十分有効ですが,
私は1の方法で対処しています。
1の対処法をとっている理由は,囲んだ支柱に防鳥ネットを張ることで,
防鳥対策にも効果を発揮します。
雨が多い時期はうね上の土が流され根が浮き出ることで株元が不安定になりやすいので,
株元に土寄せをおこない株元を固定したり、黒マルチシートを張り土が流れない工夫することも
倒伏対策として効果的です。
④確実に受粉させ実をつけるため「人工受粉」をおこなう
トウモロコシは雌花が出てきた時に、しっかり受粉させます。
株間を近づけてお互い受粉を助長させるのも効果的です。
トウモロコシの受粉は、先端の雄穂が風で揺れた際に花粉が落ち
雌穂に花粉がつくと受粉します。
もちろん自然に受粉ができますが、確実に受粉させるため
人工授粉をおこないましょう。
うまく受粉ができていないと先端の実が歯抜けの状態になる先端不稔(せんたんふねん)
の状態になるのもトウモロコシ栽培でよくある失敗のひとつです。
【人工受粉のやり方】
人工授粉のやり方を紹介します。
- 株の先端にある雄穂をハサミで切り取る
- 株下に咲いた雌ヒゲにポンポンと軽く雄穂を叩くように花粉を擦りつける
- これで人工受粉は完了です
※害虫対策として受粉が終わったあとは残りの雄花も全て切り取ります。
気温が32度以上になると花粉の機能が落ちると言われています。夏の暑い時期に栽培した
トウモロコシがうまく収穫できないのもこのことが要因です。
⑤実をひとつに絞り大きく甘いトウモロコシを収穫する
大きくて甘いトウモロコシを収穫するために1つの実だけ残す。
1番上の実を残し、その下の実は全て取り除きましょう。
ひとつの実に栄養分を集中させ,大きく育てます。
取り除いた実からもシャキシャキした食感の
美味しいスイートコーンとしていただきましょう。
⑥収穫前も油断大敵!防鳥対策をしっかりおこなう
防鳥・動物対策がしっかりできていないために,
トウモロコシがこのような状態になり悔しい思いをしました。
いよいよ収穫というタイミングは,人も鳥も動物も知っています。
被害にあった後では台無しになりますので,
収穫できる状態になる前に防鳥対策をしっかりとりましょう。
【防鳥対策の方法】
- うねの四隅に支柱4本たてる。支柱長さはトウモロコシの高さに合わせ
る(180cm程度) - 防鳥ネットを使用し支柱に沿って巻きつける
側面だけでなく、上部からの侵入もあるので丈夫にもネットを張る - 地面にネットを少し余らせて張り、ペグやシート止めで固定しネットの下からくぐられないよう
注意する。
【防鳥ネットの商品情報の紹介はコチラ】
トウモロコシの実をカラスや動物からの被害を守ります
⑦種のズラしまきでトウモロコシを年2回収穫する
ズラし栽培をすることで長期間収穫が楽しめます。
美味しいトウモロコシは年に2回収穫できます。
「種のズラしまき」。種まきを収穫期間で2回に分けて行うことで
美味しいトウモロコシが年に2回収穫できます。
【種のズラしまきのタイミング】
- 1回目の種まきは3月中旬におこないます
1回目はポット撒きでまだ気温が低い時期なので,
昼間は発泡スチロールの中,夜は家の中で管理する。
4月中旬10cm〜15cmの大きさで植えつけをします。 - 2回目は苗を植えつけたのと同じタイミングに
畑に直播(じかまき)します。
夜はまだ気温が低い時期なので寒冷紗(かんれいしゃ)を被せ
保温しておきます。 - 1回目は6月中旬から7月,2回目は,7月中旬〜8月の
年に2回の収穫が楽しめます。
いかがでしたか。この記事ではトウモロコシ栽培の基本情報から
栽培手順,初心者の人が気をつけたい栽培のポイントをご紹介しました。
記事をまとめると,
- コンパニオンプランツとして枝豆を混植し害虫予防をする
- 水や肥料を切らさない。特に気温が高くなる時期は注意
- 背丈が高くなる前に強風で株が倒れないよう,
支柱と紐で囲う,土寄せをすることで防風対策をする - トウモロコシの実は1つに絞り大きく育てる
- 収穫できる頃は鳥や動物に狙われるので,
ネットでしっかり囲い防鳥対策をおこなう - 種のズラしまきをすることで,年に2回収穫を楽しみことができる
長くなりましたが、ここまでお読みいただいてありがとうございます。
この記事がトウモロコシ栽培をされる方に少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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