作業の流れとコツさえつかめば初めてニンジンを栽培する人でも育てることはできます。
ニンジンは発芽さ得させることができれば、それ以降は育て方も難しくはない野菜です。
この記事では初めてニンジン栽培する方が
種まきをしてから収穫までの一連の流れの中で
- 栽培に必要な道具・資材・肥料の準備
- 収穫までの作業の一連の流れと作業手順
- 栽培するにあたり注意したい3つのポイント
が理解でき、スムーズに作業ができるようになります。
野菜づくり経験して実感することは失敗体験の積み重ね。
失敗した後に事前にもっと勉強しておけばよかったという
後悔の繰り返しです。初めから完璧に出来たらいいですがまずは気軽にチャレンジしてみませんか?
記事の中身は失敗を繰り返して学んだ筆者のノウハウになりますので事前準備に活用してください。
私は野菜づくりを始めて9年になります。
貸し農園で年間約40種類の野菜を栽培しています。
目次
まずは、ニンジンの栽培に必要な道具や資材、肥料を揃えましょう。
【ニンジン栽培に必要な道具】
まずはニンジン栽培に最低限揃えておきたい道具を紹介します。
- 長靴
- 作業用手袋(軍手)
- 丸形ショベル
- 平鍬(ひらくわ)
- 丸パイプ
- ジョウロ
【ニンジン栽培に必要な用具】
- 角材
- 種まき用用土
- 土寄せ鍬
- 発芽用シルバーシート
【ニンジン栽培に必要な肥料】
- 苦土石灰
- 完熟牛糞肥料(牛フンたい肥)
- 鶏糞肥料
- リン酸
- 化成肥料(追肥用)
ニンジン栽培でおさえておきたい特徴を紹介します。
項目 | 特徴 |
栽培期間 | 種まき:7月初旬〜下旬、収穫:10月中旬〜(夏まき) 3月中旬〜4月中旬(春まき) |
育苗方法 | 種まき |
発芽地温 | 15℃〜25℃ |
育生適温 | 20℃ |
好適土壌酸度 | ph5.5〜6.5(中性〜弱酸性) |
うねの幅 | 1条(40cm)、2条(60cm) |
株間 | 10cm(ミニの品種は6cm) |
連作障害有無 | あり(1〜2年) |
ニンジンを種から育てる時の栽培の流れと手順を紹介します。
・種まきの2週間前には深さ20〜25cmまで掘り土をしっかり耕しておく。
・土壌酸度計を土に差し込み土壌の酸度を測定する (ph5.5〜6.の中性〜弱酸性が最適)
・土が酸性数値が強いほど生育の遅れに繋がるので苦土石灰をまき酸性数値を緩和させる。
・タネまきの2週間前に完熟牛糞(ぎゅうふん)堆肥、苦土石灰をまきよく耕す。
・耕す時には石や植物の残骸などはしっかり取り除き、土の塊はできるだけ細かく砕いておく。
畝を作る前にもう一度耕しておくと良い。
・1週間前には元肥として鶏糞(けいふん)堆肥とリン酸肥料を散布して混ぜ込む。
混ぜ込んだ後、 高さ10cm〜15cmのうねをたてる
※1うね分
完熟堆肥・・・ 2kg(5リットルバケツ1杯分)
苦土石灰・・・ 2握り(100g)
鶏糞肥料・・・ 2握り(100g)
リン酸・・・・・1握り(50g)
・ニンジンの種まきの適期は年2回。
3月中旬〜4月中旬に行う春まき、7〜8月上旬に行う夏まき
・種は条(すじ)まきで1cm間隔でまく
※間引き作業が大変になるので種のまきすぎには注意
・※2条まきの場合は条間を20cm程度あけるとよい。
・種のまき方は、まず角材のカドを使って土に押し込みV字型のまき溝をつけ まき溝の底に均等に種をまいていく
・ニンジンの種は発芽に光を必要とする「好光性種子」なので、覆土は薄めにして種がちょっと隠れ光が届く状態にしておく
・タネまき後に土が乾燥すると発芽が悪くなるので、発芽するまで土が乾かないように注意。
・逆に発芽した後はニンジンは過湿状態を嫌うので水のやりすぎは控えめ乾燥気味に育てる。
私は発芽をよくするため雨が降った翌日にまくことを意識しています。また、雨が降らない時は、乾いているときはたっぷり水をまいてから種をまきます。また種を蒔いた後蒔いた箇所を足で踏みつけ鎮圧させると発芽が良くなります。
・ニンジンの間引きは2回おこなう
・1回目:本葉が2〜3枚の頃、指2本くらいの間隔があくように間引く
・2回目:本葉が5〜6枚の頃、握りこぶし幅(10〜15cm)の間隔があくように間引く
・生育初期は除草を徹底する。
雑草の方が育ちが早くニンジンの苗が負けてしまい生長が阻害されるため。
はじめは雑草と間違ってニンジンの芽を抜いてしまうことがないよう注意しましょう
・除草の際に軽く周辺を耕し土寄せをしておくと排水性が良くなり生育が促される
・土から出たニンジンの肩の緑化を防ぐため、光が当たらないように根首が隠れる程度に土寄せをしておく
株間を広げれば大きく育ちます。逆に狭せばめれば大きさは程々ですが本数を多く収穫できます
ニンジンを間引いた時に獲れる間引き菜も美味しく食べることができますよ!(ニンジンの葉)かき揚げにして食べるとすごく美味しいのでぜひ作ってみてください。
・間引きした後に速効性のある化成肥料を施します。固まったうねの表面を浅く耕し土を柔らかくしてあげるとより効果的
・追肥のタイミングは間引きにあわせ2回おこなう
・耕して柔らかくした土を株元へ土寄せして青首(ニンジンの首元が日光にあたり青くなる状態)にならないようにする
・種まきから3ヶ月半ほどで収穫ができるようになる
・根が太ってきたものから収穫。品種にもよりますが、地上部に出ている首元の直径が4〜5cmくらいが目安
・収穫方法は茎の下の方を持って真っ直ぐ上に引き抜き収穫する
乾燥した土壌で力強く引き抜こうとすると根元で葉が切れてしまうので注意しましょう。
雨で土壌が柔らかくなった後や、ショベルを収穫したいニンジンの根元に縦に差し込み周りの土を柔らかくして引き抜くと
根元が切れることなくキレイに収穫することができます。
初心者でも栽培しやすいオススメの品種をご紹介します。
現在は長さが短めの五寸、三寸ニンジンなどと言われる西洋品種が
栽培のしやすさ栽培期間が短いことから多く栽培されています。
※五寸、三寸などの大きさは種袋に記載されてますので参考にしてください。
それ以外にもニンジンは他にも様々な品種があります。主な品種は以下の通りです。
品種 | 特徴 |
向陽二号 | 初心者にも栽培しやすい品種で土質を選ばず栽培できる。初めてのニンジン栽培にピッタリ |
Dr.カロテン5 | 根部の内部まで鮮やかな濃紅で甘くて美味しい。味にこだわる人におススメ品種 |
ベビーキャロット | 収穫までの期間が短い極早生種でよく春に栽培される。 やわらかく甘みがあるため、サラダなどの生食で食べると美味しく味わえます。 |
私は春まきで収穫期間の短いベビーキャロット、
夏まきでは暑さに強い5寸ニンジンを栽培しています。
ニンジン栽培でよくあるトラブルとその回避方法や予防法を紹介します。
ニンジン栽培でよくあるトラブルとして、
- ニンジンの根が分かれる(又根)
- ニンジンの葉が萎れる・枯れる
- ニンジンの根が腐る
ニンジンが二股などに枝分かれたものを「又根」と言います。
又根は生育の途中で、根の先端が障害物に触れると枝分かれします。
又根のニンジンにならないようにするためには、
うねを作る際に、石や前作の根や野菜の残渣は取り除いておく、
2〜3回程度しっかり耕して土の塊が残らないようにしておく。種まき前から
注意して準備することが大切です。
ニンジンの葉が萎れたり枯れたりする要因として、うどんこ病やモザイク病などの病害によるものや
キアゲハの幼虫による害虫による被害が多く見られます。
うどんこ病は葉に粉を振りかけたような状態になり症状が広がると
葉の呼吸ができなくなり枯れてしまいます。
他の野菜や畑から飛来して感染することもあるので、対策としてできることは
できるだけ被害を広げないことです。
予防策として間引きの間隔を保ち風通しをよくする。また初期段階であれば
発症した株は早めに抜き取り処分してしまうことが効果的です。
また、被害をおさえる工夫として木酢酢や重曹の散布も効果があるようなので試してみてください。
また、「キアゲハ」や「ヨトウムシ」などの幼虫が若い葉を食害し葉を枯らしてしまう
という害虫による被害も見られるため、見つけた場合はすぐに除去するようにしましょう。
ニンジンの葉が枯れてきて、根首付近に白いカビが見られる場合は、
土中の根が腐っているケースが見られます。この場合は土壌内の「連作障害」が原因です。
「連作障害」は同じ科目の野菜を連続して栽培することで土壌内の病原体を増やし、
作物の生育を阻害したり、作物内に侵入し作物そのものを枯らしたりします。
発症してしまった場合の対処法は、モザイク病と同様被害を拡大させないために
作物を抜き取り処分します。
連作障害にならないように予防策としては、
- 同じ場所でニンジンを栽培する場合は2年位は空ける。また同科目の野菜の栽培は避ける
ニンジンはセリ科なのでミズナやセロリなどのセリ科を栽培した後は避ける - 前作の野菜が連作障害にかかった場合は土壌内に病原体が残っている可能性が高いので
植える前に土壌消毒をおこなうか、連作障害予防剤を入れる - 連作障害を予防するためにコンパニオンプランツを混植する。
※詳しくは下部のポイントで解説しています
被害拡大の防止、連作障害の被害に遭わないように注意しましょう。
ここではニンジン栽培で特に注意したいポイントを3点紹介します。
ニンジン栽培のポイントは「発芽」「間引き」「害虫対策」です。
では、一つ一つ紹介していきますね。
①ニンジンをうまく発芽させる
ニンジンの栽培で一番難しいのは種を発芽させることです。
うまく発芽ができれば栽培に成功したも同然です。
わたしが実践しているうまく発芽させるコツを紹介しますね。
【うまく発芽させるためのコツ】
- 植えつけの3~4日前に種を湿らせたガーゼやクッキングシートに包み、冷蔵庫の野菜室で保存する
- 出来上がったうねの表面に角材の角を使って溝をつくる(発芽を揃えるため溝の深さを均等に)
- ①の冷蔵庫に保存した種を1cm間隔にまき、種まき用土を浅くかける(種に光が届くように)
- 土をかけた後、足で踏みつけ圧着させる
- 雨が降った後のタイミングを狙って種まきをするとさらに効果的
- 土を乾燥させないようシルバーシート(被覆資材)を被せる(雨で種が流されないようにする役目も)
- 1週間に2回程度はしっかり水やりをおこなう
初めは発芽がさせることができずよく失敗しました。水やりに多くいけない場合は
乾燥対策をしっかりとるようにしましょう。
コツは土を乾燥させないこと、種まきの際に光を当てること、この2点がポイントです。
毎日水遣りができるのであればシルバーシートは不要ですが、私のように毎日水遣りができない環境の場合
シルバーシートは重宝します。
はじめは新聞紙を敷いて乾燥防止対策をとっていましたが、
風で飛んでしまうこと、乾燥が早いのが要因でシルバーシートに変更すると発芽の成功率があがりました。
また、夏撒きのタイミングは7月初旬からですが、梅雨の雨が多い時期を狙って種まきをすると
乾燥が少ないので発芽させやすくなります。
初心者の場合は、発芽しやすいように種をコーティング加工した「ペレット種」という種がありますので利用するのも良いと思います。
ニンジン栽培用にシート表面から光が当たるようになっています。
②大きく育つ前に間引きは定期的におこなう
ニンジンが発芽した後、定期的に間引きをおこないます。定期的に間引きをおこなうことが大切で
気がつけば大きくなって間引きタイミングを逃した!というのがよくある失敗です。
葉はしっかりと茂っているけど肝心のニンジンの根が・・ということがないように注意しましょう。
ニンジンの間引きのタイミングとしておススメは、
- 発芽して本葉が2~3枚出てきた頃に1回目(3~5cmの間隔をあける)をおこないます
- 2回目は本葉が5~7枚の頃に(握りこぶし1つ分10cm程度の間隔をあける)をおこないます
このニンジンの間引きで注意したいことは、
- 種を撒きすぎない
- 早めのタイミングでおこなう
種を撒きすぎると間引きの手間が大変です。
大きくなってくると、ニンジンが根を伸ばし間引きしにくくなるので、
早めに間引きをおこなうようにしましょう。
また、間引きした後の株間は、1つの株を大きく育てたいならこぶし1つ分
(10cm程度)、数を収穫したいなら間隔を狭めると収穫数を増やすことが
のでお好みで調整してください
③コンパニオンプランツを混植し害虫の予防と生長を即す
コンパニオンプランツとは異なる作物や植物を一緒に栽培することで、
害虫や病気の予防、生長促進等の相乗効果が期待できる栽培方法です。
ニンジン栽培をするにあたり相性のよい組み合わせが「エダマメ」です。
1条植えであればうねの端に、2条植えであれば条間に種を撒いて育てます。
エダマメを混植することでニンジンの害虫被害の多い「キアゲハ」とエダマメの「カメムシ」の被害を予防することが可能です。
また、お互いの成長も促進させるので一石二鳥です。
長くなりましたが、ここでニンジン栽培をまとめておきましょう。
【準備物 道具・資材・肥料】
ニンジンを栽培するにあたり最低限必要な用具は揃えるようにしましょう
特徴のある準備物としては、
- シルバーシート
- リン酸
発芽用シルバーシートは土壌の乾燥させない効果があり、網目になっており
ニンジンが発芽するのに必要な光を通すことで発芽が難しいニンジンの栽培には必須です。
リン酸肥料は根菜類の野菜を大きくさせる必須の栄養素で通常の鶏糞(けいふん)肥料に
追加して撒くと色づきの良いしっかりしたニンジンに育ちます。
【栽培の手順・流れ】
ニンジンン栽培の流れで重要なポイントは
- 発芽
- 間引き
です。種を発芽させることができればほぼ成功したも同然と言えるくらい大切なポイントです。
発芽させるためには土を乾燥させないことが必要です。
また、間引きをおこない生長に合わせた株間を保つことでしっかりしたニンジンに育ちます。
特に雨の多い時期は一気に大きくなり間引きしにくくなりますので早めに間引きをおこないましょう。
また間引きした際に合わせて化成肥料を撒き追肥をおこなう、
根首が隠れる程度に土寄せをおこなうようにしましょう。
【おすすめ品種】
初心者の方には育てやすい西洋品種の「向陽2号」や「Dr.カロテン」がおススメ。
あらかじめコーティングされているペレット種選ぶと発芽させやすくなります。
【トラブルや病害虫】
ニンジン栽培でよくみられるトラブルは、「又根」「葉が枯れる・萎れる」「根が腐る」
「又根」にならないよう土づくりの際に深くしっかり耕す、また原因となる石や残渣を取り除いておきましょう。
キアゲハなどの害虫やモザイク病で「葉が枯れる」ことがない様、葉が茂った場合は風通しを良くする、
キアゲハの幼虫に若葉を食べられないよう見つけた場合早急に除去するようにします。
「根が腐る」場合は連作障害が要因となるため、被害を最小限におさえるために見つけ次第抜き取り処分します。
【気をつけたいポイント】
ニンジン栽培で一番苦労する点が「種を発芽させる」こと、この工程が一番大切です。
うまく発芽させるために私が実践している「うまく発芽させるコツ」を参考にしてみてください
うまく発芽させることができれば、あとは間引きや土寄せ、追肥等の定期的なメンテナンスのみ。
ポイントを押さえて丁寧に栽培すれば初心者の方でもカンタンに美味しいニンジンが収穫できるようになりますよ。
以上がニンジン栽培のまとめになります。
ニンジンの種まきから収穫までの栽培の流れと栽培方法をご理解いただけたでしょうか?
この記事が皆さんのニンジン栽培の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただいてありがとうございました。