ズッキーニは、最近人気の夏野菜です。イタリア料理やフランス料理などでよく使われていて、オリーブオイルやトマトなどと相性がとてもよいです。ラタトゥイユなどが有名ですよね。また、栽培も難しくないので、初心者の方でもコツをつかめば簡単に栽培できます。家庭菜園にも向いていますよ。
今回は、ズッキーニの栽培方法やポイントをお伝えします。
目次
ズッキーニの栽培の特徴について、簡単にご紹介しますね。
【品種・原産地】
ズッキーニの原産地は中南米の砂漠周辺であり、ウリ科に属します。大きなきゅうりのような形をしていますが、実は丸型などもあります。色も緑色だけでなく、黄色や黄緑色など、様々な種類があります。色々な種類のズッキーニを育ててみるのも面白いですね。
【栽培時期】
種まきから始める場合、4月はじめにポットに種をまいて苗を育てます。
その後、5月はじめに畑に植え付け、7月〜8月頃に収穫という栽培の流れになります。
品種や気候によって作業の時期が変わるので、参考にしてみてください。
春に植えたら夏には美味しいズッキーニが食べれるのね!
ズッキーニを栽培するのに、必要な用具や肥料などをご紹介します。
用具・肥料 | 使用用途 |
クワ | 野菜栽培の必需品で、土づくりで耕したり畝を作ったりするのに使います |
堆肥 | 土づくりの際に必要です。すきこむことで、ふかふかの土になります |
化成肥料 | N(窒素):P(リン酸):K(カリ)=8:8:8、のバランスのよいものがいいでしょう |
苦土石灰 | 土壌のpHを調整するのに使用します |
支柱 | 株が大きくなるので、倒れないようにするのに使います |
ポリマルチ | 土を覆うポリエチレンフィルムで、畝を保温するのに使用します |
種 | 育ててみたい種類の種を用意しましょう |
ポット(9~12cm程度) | 苗づくりに使用します |
ハサミ | 収穫時に使用します |
軍手 | 葉っぱなどにトゲがあるので、収穫時に使用するといいでしょう |
ここでは、ズッキーニの栽培の一連の流れとその作業手順について、順番にお話しますね。
ポットに土を入れて深さ1cmの穴を指などで掘り、種を4~5粒まいて土をかぶせて、手で軽く押さえてなじませます。その後、しっかりと水やりをします。発芽して成長するのが25~30℃前後なので、苗づくりの間はずっと保温しておきましょう。3~5日くらいで発芽します。本葉1~2枚になったら、成長のよい2本を残して他の芽を抜き取り(間引き)、本葉2~3枚になったら一番成長のよい1本になるように間引きします。植え付け時期は、本葉4~5枚の時期(種まき後30日程度)です。
初心者や数個植える場合は苗を購入して植える方が失敗も少ないので
オススメだよ
【植え付けの2週間以上前】
苦土石灰を1m2あたり約100g(2握り)を全面にまいて、クワを使って深く耕します。土壌pHの目安は、6.0〜6.5です。
【植え付けの1週間前】
化成肥料を1m2あたり約100g(2握り)、堆肥を1m2あたり2kgを全面にまいて、再度耕します。
【植え付け直前】
クワを使って、幅70〜80cm、高さ10cmの畝を作ります。このときにポリマルチを敷いておくと、土の温度が高くなり、生長が促進されます。80cm間隔で植え付け用の穴をあけておきます。
植え付ける苗のポットの部分(根っこ)をバケツにはった水につけ、よく浸水させます。その後、根っこを崩さないようにポットから取り出し、根っこ部分と同じ大きさの穴を掘り、苗を植え付けます。あまり深く植えず、浅めに植え付けましょう。株元に周りの土を寄せ、根っこと土をしっかりとなじませます。植え付けが終わったら、たっぷりと水をやりましょう。気温が安定しない時期は、保温と病害虫を防ぐために寒冷紗をかけるといいでしょう。
ズッキーニは上に上にと大きく生長していきますが、浅く根をはるため、風などで倒れやすくなってしまいます。その対策として、株が大きくなってきたら支柱を立てましょう。支柱の立て方は何通りかありますが、家庭菜園での栽培なら2本立ての形で十分です。ズッキーニの周囲に2本支柱を立てて、茎が横向きに伸びるようにひもで八の字に緩く結びます。ひもで支柱に結びつけることを誘引といいます。
苗が大きくなる前に支柱を立てておこうね!あっという間に大きくなるよ
ズッキーニを確実に収穫したい場合、雌花が咲いたら人工授粉を行いましょう。花の下のところに膨らみがあるのが雌花、ないのが雄花です。できるだけ早朝(遅くて午前9時前)に、雄花を採取するか、筆や綿棒を使用して雄花から花粉だけを取り出し、雌花の柱頭にこすりつけます。これで人工授粉の完了です。
2番目の雌花が咲いたら、1回目の追肥のサインです。化成肥料を1株あたり軽く1握り(30g)を株元から20~30cm離れた位置(ポリマルチの外側)にまきます。それ以降は、2週間に1回の間隔で追肥をします。長期間ズッキーニを収穫したい場合は、実を沢山つける分栄養が必要になるので、追肥を忘れないようにしましょう。
ズッキーニは花が咲いてから約1週間で収穫することができます。実の長さが20cmくらいになったら、ハサミで茎を切って収穫します。先細りした実を見つけることがありますが、これは未受粉の実になるので、ハサミで切って処分しておきます。
ズッキーニでは、ウイルス病やうどんこ病が発生しやすいです。また、花に灰色カビ病が発生して実が腐ってくることもあります。
ウリハムシ、アブラムシが多く発生しやすいです。ウリハムシとは、体長7〜8mmの茶色の甲虫です。葉っぱをいっぱい食べて穴だらけにしてしまいます。
ウイルス病はアブラムシが媒介します。そのため、生育初期は寒冷紗で覆ってあげることが効果的です。うどんこ病や灰色カビ病は株同士が密接していると発生しやすくなります。適度に古い葉を除いて、日当たりや風通しのよい状態にしておきましょう。
ウリハムシは繁殖力が強いので、最初の飛来を防ぐのが大事です。ウリハムシの成虫は反射光を嫌います。そのため、銀色の光反射光テープを周囲に張ったり、シルバーマルチを敷いたりして、反射光を発生させましょう。苗が幼いころにウリハムシの被害に合うと、生長しづらくなるので、防虫ネットなどで苗を覆っておくと安心です。
アブラムシは、少数であればホームセンターの粘着性の天然薬剤でも対応可能です。ウイルス病の原因なので、見つけたらすぐに対処しましょう。
失敗しないために特に大切なポイントを5つ紹介するね!
雌花は早朝の短い時間にしか咲きません。そのため、できるだけ早朝に人工授粉を行います。また、雄花がちゃんと花粉を持っているかを確認するのも大切です。未熟な雄花で授粉しても、花粉がちゃんとできていないため、人工授粉に失敗してしまいます。そのため、雄花の雄しべに指先などで触れてみて、黄色の花粉がちゃんと付着するか試してから、人工授粉を行いましょう。
咲き始める花が小さくなってきたら、肥料が足りていない証拠です。肥料の量を少し増やしたり、追肥のタイミングを早くしましょう。花はあまり咲かないけど、葉っぱがよく茂っているなら、肥料のやりすぎになります。そのため、追肥をしないようにしましょう。このように、花や葉っぱの状態を見ながら、追肥の量やタイミングを見極めるのが大事です。
ズッキーニは大きくなりすぎると、味が落ちてしまいます。実が大きくなりだすと、そこからの成長が早いので、早めに収穫しましょう。ズッキーニの実に雌花がついたままのものを花ズッキーニと呼びます。この花もそのまま食べることができます。花ズッキーニには甘みがあるので、家庭菜園ならではの花ズッキーニを収穫してみる楽しみがあります。
ズッキーニの株は上に上に生長していきます。支柱でしっかり固定しないと途中でポキっと茎が折れて、せっかく大きく育てた株が台無しになってしまいます。そのため、株が大きくなってきたら、支柱を立てて誘引して株を固定しましょう。
ズッキーニは生長に合わせて、どんどん大きな葉っぱをつけます。葉っぱをそのままにすると、栄養が実にいかず大きくなりません。また、日当たりや風通しが悪くなって、病気の原因にもなります。そこで、生長に合わせて整枝をおこない、不要な下の葉は切り取ってスッキリさせるようにしましょう。
最後にズッキーニの栽培方法について、簡単にまとめておくね
まずは、ズッキーニを栽培するのに必要な用具や肥料を揃えましょう。支柱やポリマルチを用意するのがポイントです。
ズッキーニは4月はじめに種まきをして、5月はじめに植え付け、7~8月頃に収穫という流れです。
栽培方法の一連の流れは、
- 苗づくり、土づくり、植え付け、支柱立て、人工授粉、追肥、収穫です。株が倒れないためにも、支柱立てはマストです。また、追肥をするかどうかは、花や葉っぱの状態を見て判断してくださいね。
- 病害虫は、アブラムシがウイルス病の原因にもなるので、薬剤や防虫ネットなどで予防しましょう。
ズッキーニは大きな株に生長するので、株間はしっかり開けて育てるようにしましょう。
根を浅く横に広げて張るので追肥の際は生長に合わせて株元でなく、畝の端に撒くようにしましょう。
また、しっかりした実をつけるために追肥は2週間に一度定期的におこないます。葉っぱの色が深緑になると少し与えすぎかな?という判断でOKです。
生長過程では大きな葉っぱをどんどんつけていきますので、栽培初期の害虫被害には注意しましょう。
葉っぱが若いうちはウリハムシの被害に合いやすいです。ウリハムシは葉っぱをどんどん食べて穴だらけにしてしまい、株の生長を止めてしまいます。そのため、株が幼いうちは植え付け時に防虫ネットを張り害虫対策をすると効果的です。
長期間美味しいズッキーニを栽培するために特に気をつけておきたいポイントが2つあります。
- 1つ目は、生長に合わせて茎を支柱に固定し、倒伏を防止することです。
- 2つ目は、栄養分を実に集中させて、さらに病気にかからないようにするために、下葉をどんどん切り取って風通しをよくすることです。
開花はじめのうちは人工授粉してあげることもしっかり実づかせるのに効果的です。早朝に人工授粉を行いましょう。
ズッキーニは実だけでなく、雌花がついた状態の花ズッキーニも楽しめます。
花ズッキーニは蒸し料理や天ぷらにすると、甘みが増してとても美味しいですよ。
色や形も色々あるので、色々な品種のズッキーニを育てて収穫して、違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。